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【技術情報】有限要素法入門

6.2 有限要素法の結果による解析計算


有限要素法では本来無限領域に広がる電磁場を扱う必要があるのですが、有限の領域を解析対象としています。
これは低周波電磁場の場合ある程度電磁場の発生源から離れると減衰することから境界で電磁場をゼロとしても興味のある中心領域での精度がたもたれれば良いという考えからです。ただしこのような場合、結果として得られた電磁場は境界付近に近づけば急激に精度が悪化すると考えられます。
また発生源から遠く離れた電磁場を評価したいときも、有限要素法では評価される場所の精度が保たれるようにかなり大きな領域をモデル化する必要があります。
このような場合有限要素法の結果から得られた導体に流れる渦電流や磁性体の磁化が精度よく求まっておれば、これを使った解析計算により遠方での電磁場を精度良く評価することが出来ます。

電流が分かっている場合は(6.1-7)式、磁化が分かっている場合は(6.1-13)式より磁束密度は次のようになります。
\begin{equation}
\begin{split}
&\boldsymbol{B}(\boldsymbol{x}_p)=\sum_\alpha\frac{\mu_0}{4\pi}[\boldsymbol{J}\times\boldsymbol{n}_\alpha]I_\alpha \\
&\boldsymbol{B}(\boldsymbol{x}_p)=-\sum_\alpha\frac{\mu_0}{4\pi}(\boldsymbol{M}\cdot\boldsymbol{n}_\alpha)\boldsymbol{\nabla}_pI_\alpha
\end{split} \tag*{$(6.2-1)$}
\end{equation}
ただし計算点 $\boldsymbol{x}_p$ は真空中にあり磁性体の外である場合です。

この図は解析領域 $V$ において有限要素法の計算を行いその結果求まった導体内の渦電流 $\boldsymbol{J}$ や磁性体の磁化 $\boldsymbol{M}$ が、解析領域から離れた外の点 $\boldsymbol{x}_p$ に作る磁束密度を(6.2-1)式を使って計算した場合の概念図です。

有限要素法の解析結果は通常要素ごとに出力されます。したがって非常に細かく結果を評価したい場合はその興味のある領域を精度とは関係なく細かく要素分割しなければならないことがあります。このような場合も有限要素法の解析の段階では精度を保つために必要な要素分割を行っておき、その結果から解析計算を行うことによって必要な場所の電磁場の分布を評価することが出来ます。