本ページは、どんなソフトを使うとしても、これだけは押さえておきたい磁場解析の基本的な考え方をwebで解説する磁場解析入門講座です。
これだけは十分でありませんが、磁場解析へのはじめの一歩として、ご覧ください。
また、本講座はソフトウェアの使い方ではございませんのでご注意ください。
ソフトウェアの種類によっては自動化されていて、明示的でない可能性があります。
これから磁場解析を始める方も、始めたい方も、是非この機会にご覧になり、磁場解析導入のきっかけとしてもらえますとありがたいです。
本講座の構成は以下の通りです。途中の回からご覧になる場合は、下記の項目をクリックして、移動してください。
第1回 電流・磁石の入力
磁場解析は言葉の通り、磁場、それに伴う物理量を計算します。手計算が可能であれば、良いのですが、一般的な問題では、なかなかそれも難しいところです。
そこで、磁場解析が役に立つことになります。
初めに、磁場を作るもの、磁場の発生源を考えます。
1. 電流
2. 磁石
3. 磁性体
4. 渦電流
が挙げられます。
では、一つ一つ見ていきたいと思います。
図1−1.電流が作る磁場
電流が流れると電流の周囲に磁場が作られます。
図1−2.磁石が作る磁場
磁石を空間中に置くと、N極からS極に向かう磁場を想像することができます。
図1−3.磁性体が作る磁場
磁性体も磁場を作ります。
図1−4.渦電流が作る磁場
導体に変動する磁場を与えると導体に電流が流れます。これを渦電流と呼び、電流と同じように磁場を作ります。
磁場解析では電流と磁石は入力条件として与え、磁性体と渦電流が作る磁場は結果的に求まります。全体としての空間の磁場は“電流”と“磁石”が作る磁場と結果として得られる“磁性体”と“渦電流”が作る磁場の重ね合わせた形で得られます。
磁場を発生させる“ソース”(入力条件)としては、
電流密度[A/m2]
電流値[A]
電圧値[V]
のいずれかを入力(荷重条件)します。
基本的に電流入力はコイルを流れる電流そのものを指定します。
コイルが素線で構成され、巻き数がある場合にはどうすれば良いのでしょうか?
このような場合、素線1本当たりの電流値[A]×巻き数[Turns]を総電流とし、この値を使用します。
このとき、素線1本ずつをモデル化(メッシュ作成)するのではなく、“塊”として、扱います。この“塊”に総電流[A/Turns]を設定することになります。
電流密度はベクトルで表現されるため、コイル内部の場所に応じて異なる値を入力する必要があり、形状が複雑になると入力が面倒になります。
電流入力の場合はコイルの断面に電流値を設定するだけなので、設定が簡単です。ソフトウェア上では見えませんが、プログラム内部で計算された電流密度※が使用されています。
※Maxwellの方程式が電流密度で記述されているためです。電流値そのものを使う手法もあります。
電圧入力は誘起電圧を考慮※し、結果的にコイルに流れる電流値が決まる場合に使用します。回路と連成させる場合もこれに該当します。
※電流入力においても、誘起電圧を考慮する手法はあります。
磁石は磁化ベクトルを成分で入力します。
磁性体が作る磁場は、物性値、形状に依存し、渦電流が作る磁場はそれらに加えて、変動する磁場の周波数に依存します。
●ポイント
コイル:電流値(もしくは電流密度)入力
電圧入力
磁石 :磁化ベクトルを入力
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