前回までの8回は、技術面でどうしても早くお話しておいた方がいいであろうと判断した内容で、多少小難しい内容が続きました。
閑話休題ということで、今回から数回は、多少話を基本に立ち戻らせ、PHOTO-シリーズの基本的なお話をしたいと思います。内容については、弊社パンフレットやホームページ等とダブるものとなりますが、ご容赦いただきたくお願いいたします。
PHOTO-シリーズの一番の特長は、解析したい現象や製品によって最適なモジュールが選択出来るということです。
電磁現象は非常に広範囲で、それを一括して取り扱うことは現状では不可能です。また、電磁現象はそれのみを解析するだけではなく、渦電流による発熱からの熱伝導や熱応力の解析、電磁力を受けた構造体内部の応力や変形の解析まで行う必要が生じる場合もあります。
そこで、PHOTO-シリーズは、下表のようなモジュールを揃えて、解析の内容や対象に応じた最適なモジュールを選択し、間違いのない解析結果を導くツールとなっています。
※2022年2月現在のモジュール構成となります。
それでは、表をご説明いたします。
縦方向にはおおまかな、解析の分類で分かれています。
WAVEがついた一番上の行は高周波解析。
2番目の行のMOTIONは次の三行目のEDDYの全機能を継承し、加えて運動方程式を考慮した解析。
3番目の行のEDDYがついたものは低周波解析の内、渦電流を考慮する必要がある動磁場解析。
4番目の行のEDDYTMがついたものは低周波解析の内、渦電流を考慮する必要がある動磁場解析で、有限要素法とH法併用により空気メッシュを必要としません。
5番目の行のMAGのついたモジュールは低周波解析で、渦電流は考慮しなくてもいい静磁場解析。
6番目の行、VOLTのついたものは電場解析。
次の7番目の行から以下2行は上記の電磁場解析モジュールとの連成解析を行うモジュールとなっています。
最初の行、THERMOは発熱量を与えてやることによって熱伝導解析を行います。
次の行のELASのついたモジュールは弾性応力解析。
これが、大まかな縦方向の分類です。
ここで注意していただかないといけないのは、解析が高周波の解析か低周波の解析かの判断の仕方です。これは、取り扱う波長と解析対象の大きさの相対的な関係によって決まってくるということです。このことに関しては、本シリーズの第三回に詳しく書いてありますので参照してください。
次に横方向の分類ですが、解析手法による分類で分けています。
左から二列は有限要素法を解析手法としているモジュールです。
有限要素法は磁場解析の分野ではもっとも普及している解析手法で、透磁率、誘電率などの非線形性や異方性が簡単に扱えます。しかし、解析領域は物体だけでなく空間領域を含むので、空間メッシュが必要となり、メッシュ作成技術にある程度習熟する必要があります。ただし併用法を用いたモジュールは空気メッシュを必要としません。
同じ有限要素法でも、入力波形がサインカーブを描くかどうかで、手法が若干異なります。サインカーブを描かない場合は過渡的に解析しなければなりません。これが一列目のモジュールとなります。
一方、入力波形がきれいなサインカーブを描く場合は周波数応答解析(いわゆる複素解析)を適用することが可能です。これが二列目のモジュールです。
周波数応答解析については、本シリーズの第一回に書いておりますので参照してください。
三列目は境界要素法を解析手法としたモジュールです。境界要素法は有限要素法のように空間領域のモデル化が必要ないので無限領域の解析が簡単に出来ます。しかし、非線形材料の取り扱いは限定されます。
最後の列はその他の解析手法を採用しています。
これらの解析手法はそれぞれ一長一短があり、解析対象や内容にかなり制限がありますので、これらのモジュールを採用する場合はフォトンの技術スタッフと入念な打合せをすることをおすすめします。