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【技術情報】曲線座標

1. デカルト座標と曲線座標


 $n$ 次元空間におけるデカルト座標を、$X_i(i=1,2,\cdots,n)$、一般の曲線座標を $x_i$ とかき、
\begin{equation}
X_i=X_i(x_1,x_2,\cdots,x_n) \tag*{$(1-1)$}
\end{equation}
という関係にある場合、曲線座標 $x_i$ に沿った基底ベクトル $\boldsymbol{e}_i$ は次のようにかくことができる。
\begin{equation}
\boldsymbol{e}_i=\frac{\partial\boldsymbol{X}}{\partial x_i} \tag*{$(1-2)$}
\end{equation}
ただし、$\boldsymbol{X}$ は成分 $(X_1,X_1,\cdots,X_n)$ を持つ位置ベクトルである。ここで $\boldsymbol{e}_1$、$\boldsymbol{e}_2$、$\cdots$、$\boldsymbol{e}_n$、はそれぞれ直交しているとは限らない。一般的にこれらのベクトルが一次独立でない場合もあるが、ここではすべての座標においてこのベクトルの組が独立になるような座標系を考える。
 デカルト座標における座標成分に沿った基底ベクトルを $\boldsymbol{E}_1$、$\boldsymbol{E}_2$、$\cdots$、$\boldsymbol{E}_n$ とかくと、ベクトル $\boldsymbol{V}$ は、
\begin{equation}
\boldsymbol{V}=\sum_iV_i\boldsymbol{E}_i \tag*{$(1-3)$}
\end{equation}
とかける。このベクトルは(1-2)式の $\boldsymbol{e}_i$ を使って次のように表すことができる。
\begin{equation}
\boldsymbol{V}=\sum_iv^i\boldsymbol{e}_i \tag*{$(1-4)$}
\end{equation}
このとき $v^1$、$v^2$、$\cdots$、$v^n$ をこの座標系におけるベクトル $\boldsymbol{V}$ の反変成分とよび直交座標系における成分と区別する。位置ベクトル $\boldsymbol{X}$ から無限小離れた位置 $\boldsymbol{X}+d\boldsymbol{X}$ に向かうベクトルは(1-1)(1-2)式より次のようにかける。
\begin{equation}
d\boldsymbol{X}=\sum_i\frac{\partial\boldsymbol{X}}{\partial x_i}dx_i=\sum_idx_i\boldsymbol{e}_i \notag
\end{equation}
この式をみると $dx_i$ はベクトル $d\boldsymbol{X}$ の反変成分とみることができる。したがって座標成分も今後(1-4)式のように $(x^1,x^2,\cdots,x^n)$ のように添字を上につけることにする。新しい表記でこの式は、
\begin{equation}
d\boldsymbol{X}=\sum_idx^i\boldsymbol{e}_i \tag*{$(1-5)$}
\end{equation}
となる。(1-4)式の両辺と $\boldsymbol{e}_i$ の内積をとれば次のようになる。
\begin{equation}
\boldsymbol{V}\cdot\boldsymbol{e}_i=\bigl(\sum_jv^j\boldsymbol{e}_j\bigr)\cdot\boldsymbol{e}_i=\sum_jv^j(\boldsymbol{e}_j\cdot\boldsymbol{e}_i) \notag
\end{equation}
直交座標系においては右辺はクロネッカのデルタ $\delta_{ji}$ を使って、
\begin{equation}
\sum_jv^j\delta_{ji}=v^i \notag
\end{equation}
となりベクトル $\boldsymbol{V}$ の反変成分と一致するが一般的には一致しない。そこでこれをベクトル $\boldsymbol{V}$ の共変成分と定義する。すなわち、
\begin{equation}
v_i\equiv\boldsymbol{V}\cdot\boldsymbol{e}_i \tag*{$(1-6)$}
\end{equation}
である。反変成分との関係は上の式から次のようになる。
\begin{equation}
v_i=\sum_j(\boldsymbol{e}_i\cdot\boldsymbol{e}_j)v^j \tag*{$(1-7)$}
\end{equation}
ベクトル $\boldsymbol{U}$ と $\boldsymbol{V}$ の内積は(1-4)式を使うと、
\begin{equation}
(\boldsymbol{U}\cdot\boldsymbol{V})=\sum_iu^i\boldsymbol{e}_i\cdot\sum_jv^j\boldsymbol{e}_j=\sum_{ij}(\boldsymbol{e}_i\cdot\boldsymbol{e}_j)u^iv^j \notag
\end{equation}
となるが、(1-7)式より次のようにかける。
\begin{equation}
(\boldsymbol{U}\cdot\boldsymbol{V})=\sum_iu_iv^i=\sum_iu^iv_i \tag*{$(1-8)$}
\end{equation}
ここでベクトルを共変成分であらわすために、次の関係をみたすベクトル $\boldsymbol{e}^i$ を考える。
\begin{equation}
\boldsymbol{V}=\sum_iv_i\boldsymbol{e}^i \tag*{$(1-9)$}
\end{equation}
(1-6)式にこの式を代入すると次のようになる。
\begin{equation}
v_i=\sum_jv_j(\boldsymbol{e}^j\cdot\boldsymbol{e}_i) \notag
\end{equation}
この式が常に成り立つには次の関係が成立する必要がある。
\begin{equation}
(\boldsymbol{e}^j\cdot\boldsymbol{e}_i)=\delta^j_i \tag*{$(1-10)$}
\end{equation}
ただしクロネッカの添字も左辺の添字の上下に合わせて表示することにする。(1-2)式を使うと、
\begin{equation}
\boldsymbol{e}^i=\frac{\partial x^i}{\partial\boldsymbol{X}}  \tag*{$(1-11)$}
\end{equation}
とかける。ただしベクトルでの微分は成分がベクトルの成分による微分を表している。これより(1-10)式が成立することを確かめることができる。
\begin{equation}
(\boldsymbol{e}_i\cdot\boldsymbol{e}^j)=\sum_k\frac{\partial X_k}{\partial x^i}\frac{\partial x^j}{\partial X_k}=\delta_i^j \notag
\end{equation}
デカルト座標では反変成分と共変成分は一致するので、
\begin{equation}
\begin{split}
&X_i=X^i \\
&\boldsymbol{E}_i=\boldsymbol{E}^i
\end{split} \notag
\end{equation}
である。