概 要
複写機やプリンタは電子写真技術が利用されています。電子写真プロセスでは“帯電”、”露光”、“現像”、“転写”、“定着”の工程を経て、排紙されます。定着は紙の上のトナーを熱と圧力で固める工程です。
定着では省エネ、ウォームアップタイムの短縮などが求められ、加熱方法として、IH技術が利用されています。
磁場解析によって得られた発熱密度分布を熱伝導解析で使用し、ローラの温度分布を解析します。
磁性体コア及びコイルの位置は固定され、ローラの回転を考慮した解析内容になっています。
図1−1.概要図
解析条件
解析対象のメッシュ分割図を図2−1に示します。
ローラ表面では表皮効果により表皮厚さの中では磁束密度や渦電流が急激に変化します。このような変化を表現できるように導体表面の要素分割は細かくしています。
対称性から2分の1モデルとしました。
図2−1.メッシュ分割図(解析対象)〜磁場解析〜
ローラを回転させますが、磁場解析は初回の1回のみで良く、効率良く計算できます。
コイル :電流入力
周波数 :50[kHz]
解析タイプ:3次元解析
解析モジュール : PHOTO – EDDYjω & THERMO
解析結果(磁場解析)
図3−1.渦電流密度[A/m2] 絶対値
図3−2.発熱密度[W/m3]
解析結果(熱伝導解析)
図3−3は初期位置の温度分布です。コイルの直下のみが加熱されています。
図3−3.温度分布[℃] 8.726e-3[秒]
図3−4.温度分布[℃] 2.6178e-2[秒]
図3−5.温度分布[℃] 0.122[秒]
コアとコイルの位置が固定されているため、発熱される位置もコイルの直下に限られますが、ローラが回転することで、ローラ側面の全周にわたって温度上昇することが確認できます。
図3−6に温度分布のアニメーションを示します。
ローラ端部の白い目印は回転していることを示すために便宜的に作成しています。
図3−6.温度分布[℃]アニメーション