概 要
MEMSデバイスの主要な駆動源である「櫛歯型静電アクチュエータ」の設計では、電極間に発生する静電気力を正確に把握することが不可欠です。
本解析事例では、自社開発の電磁界解析ソフト「PHOTO‑Series」のうち、電界解析ソフトウェア「PHOTO-VOLT」を用い、微小領域における電位・電界分布、および電極に働く「静電気力」を評価した事例をご紹介します。
有限要素法により、複雑な櫛歯構造における電界集中や単位長さあたりの静電気力を定量的に算出。解析結果を簡易理論式と比較検証し、設計段階でデバイスの動作特性を正確に予測する高精度なシミュレーション手法を解説します。
櫛歯型静電アクチュエータの電界解析の事例をご紹介致します。静電アクチュエータは対向する電極に存在する電荷の符号で静電気力が生じますので、電界解析を適用しました。
PHOTO-VOLTでは電位分布、電界分布に加え、電極に働く静電気力を計算することできます。
図1−1に解析対象の櫛歯型静電アクチュエータの概要図を示します。
図1.概要図
狭い電極間距離で計算しますので、パッシェン曲線などから、放電しない電圧を考慮する必要がありますが、本事例はサンプルのため、放電の有無は考慮していないことをご了承ください。
使用ソフトウェア:PHOTO-VOLT
解析結果
図2−1.電位分布[V]
図2−2.電界分布[V/m]
図2−3.電界分布[V/m]
●静電気力(単位長さ当たり)
0.792[N]
考察
解析結果として得られた静電気力のオーダーが妥当かどうか考えます。
図3−1は櫛歯型の電極の一部に着目し、描いたものです。単位長さ(厚さ方向)当たりの電極間の静電容量をC1、C2とします。
図3−1.電極間の模式図
図3−1から、単位長さ当たりの静電容量は
となります。
C1、C2に対応するコンデンサーの数をN1、N2としますと、全体の静電容量は
となります。
静電気力のy成分Fyは
となります。パラメータを入力し、計算しますと、単位長さ当たりの静電気力は
0.818 [N]
となります。上記のように簡易的に得られた値と電界解析で得られた結果と概ね近い値になっており、妥当な解析結果になっていると考えられます。
参考文献
[1]「アクチュエータ 研究の最前線」 監修 樋口俊郎 大岡昌博 株式会社エヌ・ティー・エス
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