動磁場(渦電流)解析 外場併用法を用いた渦流探傷(非破壊検査)

概 要

形状全体図

 導体板表面の傷を検出する"渦流探傷"解析を行いました。

全体の概念図は右の図1に示す通りです。解析対称は大きく導体板とプローブに分かれています。

プローブ(励磁コイルと差動検出コイル)



プローブは励磁コイルと差動検出コイルとの二種のコイルから構成されています(図2)。


プローブの励磁コイルに周波数500Hzの電流を流した際の渦電流分布ならびに差動検出コイルに誘起される起電力を求めました※2


導体板



 導体板の大きさと傷の位置の概略を図3に示しています。

導体板



 図4は、導体板を傷の位置で切断した拡大図です。傷のスケールを示しています。

プローブと導体板の位置関係

 

プローブと導体板の位置関係を図5に示しています。

 本例題では、傷中心を|X|=0として、X軸方向にプローブを動かした結果を示します。
モデルは3次元で、フルモデルにて解析しました※3

 使用モジュールはPHOTO-EDDYjωで、外場との連成解析※4を行いました。

※1 : TeamはTesting Electromagnetic Analysis Methodの略で、数値計算手法の妥当性を検証するための公開問題です。)

※2 : 検出コイルを貫く磁束φが出力されるので、それを用いて計算により起電力を求めました。)

※3 : 外場モデルはフルモデルで作成する必要があります。)

※4 : 導体板モデル、プローブモデルとも有限要素モデルで、これらのファイルを個々に作成して連成解析を行いました。)

本例題での外場計算の概念

 本例題で用いた外場計算は、検出コイルモデルならびに金属板モデルとも有限要素モデルです。これらの2つのモデルを全く独立に作成しました。


 モデルを別々に作成し、外場機能を使用するメリットとして、

  @ 一体として作成すると複雑な形状のモノを、分けることにより形状作成を簡単化可能

  A スライドインターフェイスによる移動が困難なメッシュでも、モデルの位置の変化が可能

  B 有限要素法のみでは困難だった遠方解を解くことが可能

等が挙げられます。

 本例題においては、上記の@とAの利点があるので外場機能を採用しました。


外場機能の概念図

 図6に本例題の外場計算の概念図を示しています。

  @ 第1計算 … 励磁コイルに電流を流し、コイル周辺の磁場解析を行います。

  A 第2計算 … @の解析結果を外場入力として、金属板周辺に作る磁場解析を行います。

  B 第3計算 … Aの解析結果を外場入力として、コイル周辺の磁場解析を行います。

 以上の工程により、金属板に流れる渦電流の効果を考慮した磁場解析の結果が得られます。 ちなみに
  導体板モデルは、総節点数が 17,148、総要素数が 15,092
  プローブモデルは、総節点数が 6,467、総要素数が 6,112
で解析を行いました。

解析条件

物性条件(空気) 比透磁率 1 電気伝導率
0[S/m]
物性条件(18-10MO) 比透磁率 1 電気伝導率
0.14×107[S/m]
入力条件 25,000 [AT] を5つの有限要素モデルのコイルに等分配入力(電流密度入力)
検出コイル 検出コイル(+X)ならびに検出コイル(-X)は各5本づつしかモデル化していないので、実際は各検出コイル毎10,000ターンであるとして結果を2,000倍行います。

解析結果

 図7にX軸方向にプローブを移動させた際の各点での起電力を示します。プローブ位置|X|=0[mm]の点はモデルが完全に対称性(鏡映)を持つので差動コイルの検出電位差はほぼゼロです。その傷中心からずれることで、各検出コイルを貫く磁束線の本数が異なることとなり、差動コイルに電位差が生じます。

差動コイルの電位差  プローブの位置が、傷中心から 30mm での磁場の状態を図8および図9に示します。



磁場コンタ(実部) 磁場コンタ(虚部) 外場例題アニメーション


最後にアニメーション表示をお見せします。